都、NPO支援本格化
人員派遣やセミナー 経理など指導


掲載:日本経済新聞
日付:平成14年3月8日


東京都は2002年度から非営利組織(NPO)の支援を本格化する。新たに街づくりや教育など12事業分野で、退職者らを派遣して経理などを指導。NPO職員対象セミナーを開き、会計士らが経営ノウハウを教える。都内では行政がカバーしきれないきめ細かい住民ニーズに対応するNPOが増えている。都は活動基盤の弱いNPOの支援強化により、行政サービス補完を狙う。


 
 財務、経理業務を中心に、企業などで業務経験のある退職者らを派遣要員として公募する。派遣先は福祉、環境保全、街づくり、文化、社会教育などNPOが法人格を取得できる12事業分野。都は今夏以降、100人以上を150人以上のNPOに派遣することを目標にしている。原則として受け入れを望むNPOすべてに派遣する。

 セミナーには経営コンサルタントや会計士、税理士を講師に招き、財務などの実践的な講義をしてもらう。派遣指導よりも応用的な内容にし、2004年度まで継続して開講する予定。1講座は5回程度で、5種類以上の講座を開く方向で検討する。

 都がNPO支援に力を入れるのは、「財政難に加え職員数に限りのある都ではカバーしきれない住民サービスを手がけてもらう」(生活文化局都民協働部)ためだ。都は既に空き店舗対策や保育などでNPOと連携して事業を推進している。2001年度の推進事業は前年度の約1.5倍の71に増えた。

都は今年度からデイサービスなど福祉分野に限定してNPOなどに企業の財務職経験者らを派遣する事業を試験的に開始、72人を81団体に派遣した。

都は1998年12月にNPO法人の認証を開始し、2001年は新たに535のNPO法人を認証した。一方、都の昨年の調査によるとNPOの4割は年間事業収入100万円未満で、財政基盤が弱い。


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