掲載:日経新聞朝刊
日付:平成14年2月7日(木)
東京都杉並区は2002年度から非営利組織(NPO)への寄付に対する独自の税控除制度を導入する。NPO発足時から適用するなど、国の控除制度より基準を大幅に緩和する。国内で初めて、法人格を持たないNPO向け寄付行為も控除対象にする。
税控除の対象となるのは学識経験者らで作る協議会が公益性などを審査して選んだ登録NPO。法人認証の手続きを敬遠して法人格を持たないNPOも登録の対象となる。所得税法と地方税ではNPOへの寄付について税控除を受けられないため、寄付はいったん区が設立する基金が受け付け、基金からNPOに助成する形をとる。
基金への寄付は控除の対象となる。例えば、年間収入が600万円の世帯の個人が20万円寄付した場合、納税額が所得税と住民税合計で26,000円前後減る。
脱税目的で架空のNPOを作ることを防ぐため登録NPOの申請書をホームページで公開してチェック機能を働かせる。
月内に開会する第1回定例区議会に条例案を提出し、4月1日から実施する。
「NPOは立ち上げ時の資金繰りが大変」(山田宏区長)なため、事業開始時の寄付行為から対象にする。
NPOに対する国の控除制度は事業開始から2年以上経過したNPO法人に対象を限定しているほか、NPO法人の総収入に占める寄付金の比率を3分の1以上とするなど条件が厳しく、現在まで認定を受けたのは2法人にとどまっている。
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