○ミックステンペラの制作工程
       
 
下素描
 
写された輪郭を墨またはテンペラ絵具で素描します。グレーまたは、テールベルトなどでデッサンをするように肉づけを行なっておくと、後の油絵具での着色が効果的です。
@原画を基底材の大きさにコピーします。
A原画の裏に、ライトレッドやアンバー系などの油絵具に少量のテレピンを加えて塗り伸ばします。テレピンが蒸発するまでそのまま乾かします。
B磨き済みの白亜地の上に原画をのせ、木棒やボールペンで輪郭をなぞり、下絵を転写します。
C塗り用に調製した膠水をビーカーに取り、約3倍に薄めます。
Dトレースを終えた白亜地の表面に軽く刷毛で薄めた膠水を1回塗ります。
E乾燥を待って彩色にはいります。強く何回も同じところを塗ると、トレースした線が消えてしまうので注意します。
<効果>トレースの線を定着するとともに、地塗層の吸収性を調節しテンペラ絵具の乗りをよくします。
 
       
 
油絵具による透明層作り
 
テンペラ油性分を3〜5倍のテレピンで薄め、さらに少量の油絵具を加えて油絵具のおつゆ液を作ります。
この色液を、画面全体にデッサンの上から刷毛で均一に塗ります。できるだけ薄く、光沢が出ないように着彩します。
彩色の前段階で画面全体に調子を施すことは、後の表現において、明暗表現を容易にします。この、調子と絶縁層を同時に兼ねる構造をインプリミトゥーラといいます。
 
       
 
下層描き(白色浮出)
 
テンペラメディウムに白色顔料(酸化チタンが効果的です)を混ぜ、白色絵具を作ります。
水を加えて絵具の濃度を調節しておきます。大きな部分は、薄い平塗りで塗ります。この時には、かなり薄めた絵具を使います。
明部から中間調子の半影部には、少し濃い目の絵具を使います。
また、最も明るい部分からハイライト部へは、濃い目の絵具を使います。
この時の顔料とメディウムの量は、明るい部分ほど顔料が多くなることになります。
少量の有色顔料を加えることにより初めから固有色彩をイメージした色を画面に置くことができます。
 
       
 
油絵具の透層とテンペラによる描画
 
前に使った透明油絵具と同様に、薄い油絵具の色液を作り、白色浮出した画面にグラッシをかけます。浮いていたテンペラによる肉付けの表現が透明な油絵具により抑えられ、画面に統一感がでます。不透明なテンペラ絵具と透明な油絵具の織り成す重層効果がこの技法の特長でもあります。
油絵具で抑えた画面は、再びテンペラによって描き起され、それを油絵具により抑えるという繰り返しで、画面は重層構造になり深みを増します。
 
       
 
油絵具による彩色
 
画面に重層構造ができ、形や立体感が明確になってきた段階から、油絵具によるグラッシを重ねて、最終の色に向けて仕上げます。
テンペラ絵具の明るい表現の上に乗せられる油絵具の純色の効果は、独特の魅力があります。
油絵具のグラッシを重ねる場合は、油性分の少ない絵具層の上に濃い絵具層を乗せるようにします。下層の再溶解を防ぎ、絵具が乗りやすくなります。
 
       
     
       
     
       
 
テンペラによる細密描写
 
生乾きの油絵具グラッシ層には、テンペラ絵具で描画できます。仕上げ段階に近く、質感の描写や、不透明の対比効果、細線による細密表現、微妙な塗り重ねなどは、この段階が有効です。
このテンペラ絵具の上にさらに油絵具を乗せる場合は、テンペラ絵具の水分が完全に乾いてから行ないます。
 
       


目次
テンペラ絵具とは?
テンペラの描き方
各種テンペラの特質
エッグテンペラ
テンペラの材料 テンペラグラッサ
ミックステンペラ


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