わたくしたちが、日頃手にし使い慣れている「絵具」を思いつくままに並べてみると、『油絵具』『水彩絵具』『ポスターカラー』『顔彩』『くれよん』『パステル』『インク』・・・と幾つでもあげられそうです。
絵具とは、言わなくても、「塗料」や「染料」といった色の材料もあります。これらはいったい何処がどのように違うのか、考えはじめると難しくなります。
このホームページでは、『油絵具』を中心に絵具について解りやすく説明したいと思います。


 絵具は何からできているのか? 

まず、絵具を作るためには、何といっても「色」の元がなければはじまりません。絵具に使用される色の元を「顔料」といいます。顔料は色のついた細かい粒子で、油や水に溶けることのない物質です。
顔料を紙やキャンバスといった支持体*3に擦り付けると、一応絵を描くことはできますが、そのイメージをそのまま保存することができません。ちょっと触っただけでも顔料は取れてしまうでしょう。イメージを定着してやるためには、顔料をなにがしかの材料で画
面に固定してやらなくてはなりません。
そこで「糊」の役割をする材料が必要になります。その糊の材料を専門用語で「ビヒクル」といいます。
そうです。「絵具」は、色を出す材料の「顔料」と、顔料を画面に固定する材料の「ビヒクル」が混ぜあわされてできるものです。
顔 料
ビヒクル
絵 具
色を出す   色を定着する

   

たとえば、糊にリンシードオイルのような乾性油を使うと、光沢があり色に深みがあって、しかも厚塗りや薄塗りが自由にできる「油絵具」ができます。
また、アラビアガム*6の水溶液を顔料に混ぜ合せると「水彩絵具」ができますし、膠の水溶液を使うと日本画やデトランプという絵具ができます。さらに、冷蔵庫から生卵を持ってきて黄身や白身と顔料を混ぜ合せれば一種の「テンペラ」絵具になります。
このように、同じ顔料を使っても、練り合せるビヒクルの違いによって色々な絵具が作りだされます。「水に溶ける・溶けない」とか「耐水性がある」とか、「画面の光沢の有無」や「乾燥の早い・遅い」という絵具の性格の違いのほとんどはビヒクルの性格の違いから生じます。
特に、生の顔料の色をそのまま再現する絵具や顔料を濡れ色にして深みを与える絵具など、「発色」に関わる違いはビヒクルに大きく影響を受けてしまいます。

絵具の性格から見た主な絵具一覧
バインダーから見た絵具の種類



 では、次に各種のビヒクルによってどんな絵具ができるのか、絵具の種類と性格についてみていきましょう。



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