たとえば、糊にリンシードオイルのような乾性油を使うと、光沢があり色に深みがあって、しかも厚塗りや薄塗りが自由にできる「油絵具」ができます。
また、アラビアガム*6の水溶液を顔料に混ぜ合せると「水彩絵具」ができますし、膠の水溶液を使うと日本画やデトランプという絵具ができます。さらに、冷蔵庫から生卵を持ってきて黄身や白身と顔料を混ぜ合せれば一種の「テンペラ」絵具になります。
このように、同じ顔料を使っても、練り合せるビヒクルの違いによって色々な絵具が作りだされます。「水に溶ける・溶けない」とか「耐水性がある」とか、「画面の光沢の有無」や「乾燥の早い・遅い」という絵具の性格の違いのほとんどはビヒクルの性格の違いから生じます。
特に、生の顔料の色をそのまま再現する絵具や顔料を濡れ色にして深みを与える絵具など、
「発色」に関わる違いはビヒクルに大きく影響を受けてしまいます。
□絵具の性格から見た主な絵具一覧。
□バインダーから見た絵具の種類
では、次に各種のビヒクルによってどんな絵具ができるのか、絵具の種類と性格についてみていきましょう。