「アートトレイサー」ついにリリース!

〜美術品、審査にICタグ利用 合否や成績、簡単に効率管理〜
(日経産業新聞,2006/07/07,ページ:2)

大日本印刷などは、美術コンテストの出展作品を無線ICタグ(荷札)で管理するシステムを開発した。簡単な操作で作品の合否や成績の情報などを管理でき、審査の大幅な効率化を促す。コンテスト主催者向けに専用端末などをセットで貸し出し、収益を確保する。美術品の管理などでICタグを活用する動きが今後、広がる可能性が出てきた。


新システムは「アートトレイサー」。作品は個別番号がついたICタグをはりつけ、パソコンに作者名や作品名などの個別情報を入れて管理する。情報を入力するときに専用端末でタグの番号を読み取り、新たに入力したデータがどの作品のものか番号で管理できるようにする仕組み。

例えば審査に入る前には作品をゲート型の読み取り端末の下をくぐらせると、どの番号の作品が審査を受けたかが、パソコンに入力される。審査が始まると合否などを手で持てる小さな読み取り端末を用いて入力する。合格作品のタグに端末をかざすと、どの番号の作品が合格したかを入力してパソコンに情報を転送できる。

パソコンに入っている専用ソフトは、蓄積したデータから合格率や賞候補の作品数など美術展特有の情報を自動集計できる機能を持つ。端末などは貸し出し限定だが、蓄積されたデータはコンテスト主催者に渡す。七月中旬から読み取り端末とパソコンをセットで貸し出し、料金は8日間で50万円。2007年度に一億円の売り上げを見込む。

国内では年間五百件の美術コンテストが開かれる。応募作品が毎年一万点を超えるコンテストもあるが手作業で情報管理しているものがほとんど。コンテストが大規模になるほど審査に時間がかかり、情報管理の間違いも多い悩みがあった。

大日本の全額出資子会社、DNPメディアクリエイトが企画。作品輸送のハート・アンド・アート(東京・江東)が審査手順に関する情報などを提供する。ソフト開発のエイディシーテクノロジ(名古屋市中区)がシステムを開発した。別売りのICタグと、同システムの販売は大日本印刷が担当する。

美術品の情報提供にICタグを活用した例では今年4―5月、東京・上野の国立西洋美術館で展示作品にICタグをつけ、動画の作品ガイドを専用端末で読み取るシステムを導入した。館内で貸し出す専用の携帯型端末で、タグ情報を読み取ると作品の時代背景や解説が端末の液晶に呼び出せる仕組み。国立西洋美術館は今後、タグシステムを使った作品管理などにも取り組む方針。商品の物流管理や電子マネーなどに続き、ICタグの用途が美術品の分野にも広がる可能性が出てきた。


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